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不眠(不眠症、不眠障害、睡眠障害)について ③

[2021.05.07]
 今回も睡眠に関することの続きです。前回(②)、不眠障害(不眠症)の診断についてお話しました。今回は不眠障害(不眠症)の原因について、一緒に考えてみましょう。
 まずは、一時的に出現してその後改善する不眠に、適応障害性不眠症(急性不眠症)があります。原因として、ストレスのある出来事(例えば、大勢の人前で話さないといけない時の前夜、学生ならば試験期間中、身近な人の死後など実際の心理社会的ストレスがある場合、あるいは入院中といった身体的ストレスがある場合など)、環境変化、睡眠スケジュールの変化などをきっかけに生じることがあります。皆さんも一度くらいはこういったご経験があるのではないでしょうか。ただし、数日から数週間持続して状況が改善すれば不眠は自然に消失するため、このような場合は病的とはみなされないことが多いと思います。しかし、心理的な脆弱性をもつ人は状況が改善したあとも不眠が持続したり、軽微な出来事で再発したりすることがあるので注意が必要です。
 次に、不眠障害の中で中核をなすものに精神生理性不眠症があります。これは、少なくとも1ヶ月は続く不眠で、身体化された緊張と学習された睡眠妨害的な連想という二つの要因の相互強化の結果としての不眠です。つまり、ストレスがあると精神的な興奮が身体化されて生理的な緊張・興奮として現れ、「また眠れないのではないか」という過度の心配が条件づけられ、例えば、寝室に入るだけで「眠れないのではないか」という連想が起こり、心配によって興奮して一層眠れなくなるという悪循環を起こします。このように、不眠に対する不安や、不眠自体がストレスとなる不眠恐怖が生じ、夜になると眠ろうと努力するため交感神経が優位になり、かえって目がさえてしまいます。夜間だけでなく日中も過覚醒状態にあり、昼寝をしようと思っても寝つけないことがあります。
 逆説性不眠症は、睡眠状態誤認ともよばれ、客観的には寝ているのに、自覚的には全く眠れていないと感じ、日中の疲労感、作業効率低下、うつ状態などがみられます。これは、時間認知に障害があると考えられています。
 特発性不眠症は子どものときから寝つきが悪く、しばしば幼児期から症状がみられることもあります。
 精神疾患に起因する不眠症には、うつ病、不安障害、統合失調症などがあります。
 不適切な睡眠衛生による不眠症では、睡眠・覚醒時刻が不規則であったり、日中頻回に仮眠をとったり、アルコールなどを乱用したり、就寝直前に精神興奮を起こすようなことをしたりするなど、夜間の睡眠を妨げるような生活習慣が原因となっています。
 小児期の行動的不眠は、小児期に、望ましい時刻に就寝することを拒否する、決まった条件が整わないと眠れないなどの原因で、十分な睡眠がとれないものです。
 薬物・精神作用物質による不眠症は、アルコール、刺激性薬物の摂取、薬物使用からの離脱などによって起こる不眠です。
 以上のことから、不眠障害(不眠症)の原因をまとめると、次の5つのPで始まる単語で表されます。
(1) Psychological(心理学的原因):急性・慢性のストレスや身近な人を失うなどの喪失体験などが原因。
(2) Physical(身体的原因):身体疾患による不快感やそれに伴う苦痛・疼痛などが原因。
(3) Physiological(生理学的原因):寝室の温度・湿度や騒音などの不適切な環境、海外渡航、夜勤のある交代勤務などが原因。
(4) Psychiatric(精神医学的原因):うつ病、不安障害、アルコール依存などの精神疾患が原因。
(5) Pharmacological(薬理学的原因):服用している薬の副作用、アルコールやカフェイン摂取、喫煙などが原因。
 このように原因をみていくと、私たちの周りには不眠を誘発し得る種(原因)がたくさんあることが分かります。コロナ禍でもあり、私たちは様々なストレスにさらされ、大きな不安を抱えながら生きています。そのため、不眠症状が出た初期の段階で医療機関を受診されることをおすすめします。
(参考:臨床精神医学テキスト、今日の精神疾患治療指針、厚生労働省みんなのメンタルヘルス
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(令和3年5月7日)
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